よみがえる伝説の夏王朝
NHKが新しい中国史のシリーズを始め、その第一回目として「夏王朝」を紹介していた。
「夏」とは中国の史書では最初の王朝とされ、従来は五帝同様に伝説上のものと信じられてきた。しかし最近になって、その「夏王朝」の都ではないかと考えられる遺跡の発掘が進み、実在した王朝であると考えられるようになってきたという。
さらに放送中の説明によれば、それ以降「清」の滅亡まで続いた諸王朝の統治システムの基本は「夏」によって始められたのだという。その意味でも「夏」は中国最初の王朝と言うにふさわしい。
また、「夏」は「倭」とも関係が深い。「魏志倭人伝」中に「夏后少康之子封於會稽」とあり、「倭」と「夏」の接触があった事が記されている。ただし、手元にある岩波文庫版の現代語訳では「夏后少康の子が会稽に封ぜられ云々」とあり、前後との文脈がつながらない。ここは前の文「古以来其使詣中国皆自穪大夫」を受けて「夏后少康の子が会稽に封じた」と読みたい。しかし、この部分は全く別の文章の一部が入れ違ってここに入った可能性(*)もあり、前後とつなげて解釈するのは誤りかもしれない。
さらに中国の伝説では、後の「越」は「夏」の末裔がたてたもので、「越」が滅亡した際に多くの「越」人が「倭」に逃れたとも伝えられているそうだ。「夏」の時代にはすでに大規模な稲作が行われていたと言う説もあり、朝鮮半島の古代国家や「倭」から「夏」に行き来していた使者達によって、朝鮮半島南部や九州に稲作が伝わった可能性もありそうだ。
(*)中国古代の書物は竹簡を糸で綴って巻物にした物なので、糸が痛んで綴り直すときなどに順序が入れ違う可能性がある。
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