レイ・ブラッドベリ死去
また一人、20世紀のSFとFantasyに多大な影響を与えた巨匠が亡くなった。
訃報を伝える記事に述べられている「火星年代記」の他、「闇のカーニバル」等、SFとFantasyの境界線上の短編を多数残している。私も若い頃には早川SFシリーズや創元推理文庫に収載された作品を読みあさった。I.アシモフのミステリSFやA.C.クラークの哲学的SFとは異なり、今はやりの妖精や魔法を中心にしたファンタジーとも全く異なる、夢と現実の狭間のような不思議な世界が魅力だった。
今はもう古くさいと言われるのだろうが、あのような世界を描いた物語があっても良いと思う。そう言えば、最近は長編のシリーズ物ばやりで、短編小説は少なくなった。当時はF.ブラウンやE.F.ラッセルなど、軽妙洒脱な短編を書く作家が何人もいたのだが。
「柳の下のドジョウ」を狙うシリーズ物と違い、個々の単品で勝負しなければならない短編は、資金効率優先の今の出版社としては商売がしにくいのだろうか。
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