地政の府と知性の府
一昨日(2012/05/03)の朝日新聞の朝刊に、一票の格差についてのアンケート調査の結果が出ている。それによると現状のままでの総選挙には過半数が反対しているという。
その詳細は朝日新聞を読んでもらうとして、この幾度かの選挙制度「改革」は結局の所「改悪」だったとしか思えない。
先進国の(つまり英国や米国という意味だ)の「優れた」二大政党政治を目指し、政党中心の選挙制度に変えようという趣旨だった。そして政党の利益を図るため「政党支援交付金」まで新設した。しかしその結果は逆だった。
政党に交付される資金争奪のためボス政治は激化し、争奪戦に敗れた者達は新党を立ち上げ、独自に交付金を得ようとした。これが小党乱立をもたらした。
さらに、大政党有利にするための小選挙区制と、政党のボスを有利にする比例代表制も導入された。比例代表制では名簿上の順位が候補者の命運を決めることになる。その為順位に影響力を行使できる政党ボスの権力が強化された。
さらにまた、衆議院と参議院の選挙制度を近づけたため、本来地域代表で地域エゴをぶつけ合うことが目的である衆議院と、地域代表とは別の国全体を見通す視点から政治を行うことが目的であった参議院との性格が同じになってしまった。その結果、地域の利益を離れて国全体の利益になる政治を行うための「知性の府」とされた参議院が、地域利益を図るための「地政の府」である衆議院と同じことしかできなくなったのだ。これでは参議院の存在意義がない。参議院本来の性格である「大所高所からの議論による政治」の復活を図るべきだ。
その為にはどうすればよいのか?衆議院は議員数や各都道府県への配分方法を除けば、現制度に近いシステムでも許容できそうだ。たとえば、各都道府県に配分する最小議員数を保証した上で、ドント方式などで議席数を配分するなどが考えられる。都道府県内の選挙区割りや議席配分は各県に任せることも可能だろう。ただ比例代表併立性はやめるべきだ。代議員選挙に滑り止めをかけるというのは浅ましく不様に見えるからだ。
一方参議院は全国区に若干の大選挙区を加えた形が良いように思える。全国的には知られていなくもそのの地域内では知性が高いとしてよく知られた人が参加できる余地を作るためだ。
それにしても、知名度が高ければそれがどんな分野の知名度であってもはやし立てて議員に仕立て上げるというお馬鹿な行為は、メディアも政党も、そして有権者も改めるべきだ。
政治屋さんも政治能力のないタレント政治業者さんも、日本の政治には不必要だ。「知性の府」を「地政の腐」にしてはいけない。
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