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April 12, 2012

レトロな北朝鮮ロケット

打ち上げ準備中の北朝鮮ロケットの映像が盛んに報道されているが、それを見て1960~1970年代の米ソのロケット打ち上げにそっくりだと感じた。発射台の構造や、組み立てを発射台上で行う等が理由だ。

さらに燃料もヒドラジン/過酸化水素という大時代なものだそうだ。この燃料は、常温で取り扱え点火装置が不要、等の理由で1960年代には多く用いられた。だがその後技術が進歩して液体酸素を酸化剤として利用できるようになると、ケロシン/液体酸素になり、さらに液体水素が利用できるようになって液体水素/液体酸素が大型ロケットのメインエンジン用燃料の主流になった。つまり北朝鮮はまだ、液体酸素や液体水素をロケット燃料として用いる技術が無いことになる。前回のミサイル実験の映像で、窒素酸化物を含むオレンジ色の排気がもうもうと立ちこめていたのも、ヒドラジン/過酸化水素を燃料として使っていたのだとすれば理解できる。

一方、ICBMやIRBMなどの兵器用ロケット燃料も現在は固体燃料が主流だ。理由は素早く発射できるからだ。冷戦時代、敵ミサイルを探知され、反撃命令が出ると数分以内に発射しなければならなかった。何時間もかけて液体燃料を注入していては、その間に敵ミサイルが到達してしまう。固体燃料も、初期には長期貯蔵安定性に問題があったがその後大きく改良され、数年間は交換が不要だと聞く。

この点、北朝鮮ロケットが固体燃料の外部ブースターを装備していないことにも注目すべきだ。現在はまだ、大型固体燃料を製造できないのだろう。そう言えば、日本は固体燃料の小型ロケットから開発を始めた。大型液体燃料ロケットを打ち上げられるようになって、日本も一人前に近づいたと感じたことを思い出す。

さらにもう一つレトロに感じる理由がある。それ、は旧ソ連流にメインエンジンに小型のものを束にして使っていることだ。これは米ソ宇宙開発競争時代に、大出力エンジンを短期間で作れなかったソ連が編み出した手法で、今もソユーズを打ち上げるプロトンロケットで用いられている。だがこれは兵器用ロケットとしては有利とは言えない。部品点数が増えるので製造やメンテナンスに手間がかかるからだ。

と言うわけで、北朝鮮ロケットが米国にとって脅威と言えるようになるのは、大型固体燃料ロケットの開発に成功してからだろう。

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