ゴイサギの巣
昨日の散歩の途中、王子公園の駐車場を歩いていると「グェ、グェ」という音が聞こえた。何の音かと思って上を見上げると、楠の大木の梢に枯れ枝を積み上げた鳥の巣が見えた。だが巣にいる鳥の姿が確認できなかったので、今日改めて超望遠が利くカメラを持って出直した。 |
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![]() | 巣があるのはこんな場所。 |
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昨日の散歩の途中、王子公園の駐車場を歩いていると「グェ、グェ」という音が聞こえた。何の音かと思って上を見上げると、楠の大木の梢に枯れ枝を積み上げた鳥の巣が見えた。だが巣にいる鳥の姿が確認できなかったので、今日改めて超望遠が利くカメラを持って出直した。 |
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![]() | 巣があるのはこんな場所。 |
無罪判決を受けて小沢派が決起集会を開いたまでは良かったが、参集者が意外に少なく、また人気政治屋さんたちや大手メディアから厳しい評価を受け、やや出鼻をくじかれた形だ。また、当てにしていた世論も小沢氏に冷淡だ。
このままでは直ちに党中枢に復帰とは行きそうもない。さて、どう巻き返すのだろうか?
景気対策には世界的に金融緩和が主流になっている。しかしこの10年の実績を見ると、金融緩和で供給された資金の大半は投機に流れ、雇用増にはほとんどつながっていない様に見える。
それは就職難の一方で高価な貴金属や超高級車の販売が好調だと言われるところに見ることができる。つまり、裕福なものは金融機関から借り入れた資金を使って投機で稼ぐことができるが、庶民にはその資金が回らず恩恵をもたらしていないと言うことだ。
その結果、景気の底を支える庶民の消費は伸びず、安価な輸入品がもてはやされ、それがさらに庶民の雇用を減らし景気を押し下げる。それが、近年とられてきた制作が景気対策としてほとんど効果がなかった原因だ。
だから、景気対策は根本的に政策転換を行うべきだ。現状では、金融緩和よりも雇用を生み出す事業への直接投資の方が効果的だ。戦後の失業対策事業を参考にして、雇用増を図るべきだ。
これはもちろん、最近はやりの「ハコモノからソフトへ」というスローガンには反する要素を含んでいる。しかし今、そんなイメージだけのきれい事に執着している余裕はない。そして、その事業は地元の雇用につながる地元業者を優先して使うべきだ。東京だけが潤っても、日本全体の景気底上げにはつながらないからだ。
小沢氏に一審で無罪の判決が降りた。
状況証拠しかない上に、捜査中の検察側の不手際もあって有罪は苦しいと思ってはいたががっかりした。
これでまた、金に群がる有象無象が元気を取り戻すのかと思うと憂鬱だ。
昨日(2012/04/24)の夕方、京都から神戸に向かって名神高速を走っていた時のこと。
左右ルートの分岐部にあと少しという時に、道路情報放送から「右ルート合流部に故障車があるとの第一報があり調査中」という注意情報が流された。右ルートに入る車線を走っていたのでそのまま右ルートを走り、数分後に合流部に達したが故障車らしきものは待った見あたらなかった。
ところがその直後、今度は「高槻バス停の先に故障車があるとの第一報があり調査中」との注意情報が流された。そして数分後に高槻バス停を通過したがやはり何もなかった。
いたずらで偽情報を流している者がいるなと思いながら走り続け、豊中インターチェンジまでくると車線分離線付近にカーマットかフロアマットのような少し厚みのあるシート状物が落ちていた。それは踏まないように注意して通過したがその直後、今度は「豊中インターチェンジ京都方向合流部に落下物があり、回収に向かっている」との注意情報が流された。実際に落ちていたのは神戸方向の合流部であり、方向を偽って通報したものと思われる。
虚偽通報を行った者は軽いいたずらのつもりだろうが、道路管理会社はその都度確認や除去のために作業員を出動させねばならない。度重なれば業務妨害行為と言える。携帯電話を使ったのか、路側にある非常電話を使ったのかは知らないが、常習的と思われるものは警察に通報して罰を科すべきだろう。まして、虚偽通報のために故意にシート状物を落としたとすれば、これはもう厳罰に値する。
昨日(2012/04/22)の三井化学での爆発事故は、蒸気発生プラントでトラブルが発生したために全プラントの緊急停止操作中に発生したとの報道がある。
今回の事故に限らず、立ち上げ時や停止時には事故が起きやすい。特に緊急停止操作時には事故の危険度が高い。その理由は、緊急操作中には設備全体のバランスが崩れている上に、マニュアルに不十分な点がありがちだと言うことにある。
平常運転時の操作はKY活動で不備や見落とされている危険を見つけやすい。作業員が日常作業の具体的なイメージを明瞭に持っているために、KYのテーマを細かい部分にわたって見つけやすいと言うことも良い方向に作用する。しかし、立ち上げや停止の操作は経験する機会が少ないので、操作の細かな部分まではイメージしにくい。これが出会う機会がほとんど無いような緊急操作であればなおさらだ。
この対策としては、現場KYや想定KYと呼ばれる方法が用いられる。これは、操作を行う現場で模擬操作を行いながら、潜在危険やマニュアルの不備を発見しようとするものだ。しかしながら、日常的に行っている平常時の操作に較べると緊急時の操作は機会が少ないので、危険度が低いとして後回しになりがちだ。さらに接する機会が少ないのでKYの密度も低くなりやすい。
その結果、潜在危険やマニュアルの不備の発見率が低下し、マニュアルの見直しや改訂も行われにくくなる。作業員の不慣れとKY密度が低い、さらに計画停止時のようにベテラン作業員がいるとは限らない。これが緊急操作中に大事故が起きやすい理由だ。
対策としてはごく常識的だが、年に何度かトラブルの想定を変えて緊急時の模擬操作訓練を行い、同時にKYも行う事だ。大規模なKYは日常業務の妨げになるとして嫌われがちだが、これも重要業務の一つと割り切るしかない。
またも通学路で集団登校中の小学生の列に自動車が突っ込んだ。
今回も現場の写真を見ると、過去に類似の事故が起きた場所と同じくガードレールの無い狭い道で、自動車の通り抜け道として利用されているという。なぜ同じパターンの事故が繰り返されるのか疑問に思う。
以前にも書いたことがあるが、自動車も通行する集団通学路にはガードレールが不可欠だ。逆に言えばガードレールの無い道路を集団通学路にすべきではない。過去に報道された事故を見れば、ガードレールがあれば児童の支障を回避できた、あるいは軽微で住んだであろうことは容易に分かる。
にもかかわらずガードレールが無い道を集団通学路にしているのは、学校、警察、そして父母を含めた地元住民の怠慢だ。自動車通行の妨げになるとの異論は取りあう必要がない。またガードレールが完備されるまで、登下校の時間帯は車両の通行を禁止すべきだ。抜け道として利用されるような道であれば、数時間通行止めにしても大局的な支障はないはずだ。
三井化学のレゾルシン工場で爆発事故があり、設備が大破したようだ。 |
レゾルシンは多価フェノール類の一種で、ポリフェノールの一種でもある。化学原料としては、ゴムや粘着テープの粘着性付与剤や、エポキシ樹脂原料、ビスフェノール類(これらも立派なポリフェノール)、化学染料などの製造に使われる。つまり、タイヤや粘着テープなどのゴム工業、エポキシ樹脂やポリカーボネート樹脂などの高分子工業が大きな影響を受けることになる。 | ![]() |
週明けにはこれらの分野の企業の株価に影響が出るだろう。 |
追記;2012/04/23
IPCS |
バーチャルばやりの昨今、世論もバーチャルなっている様だ。
手間のかかる正規の手順を踏んだ世論調査ではなく、お手軽にネット上の掲示板の書き込みを見てそれが世論であるかのように報道する、そのような記事がしばしば見られるようになって来ているからだ。比較的良心的なものは「ネット世論」と断るがネット外でもそれが主流であるかのような書き方をする。最近は断ることもしないものがある。
ただネット上の掲示板を見れば、ネットに書き込みをする者は国民の中のごく少数であり、書き込みの内容やその口調を見れば書き込む者の思考方法や性格が偏っていることが分かる。そしてこのような者達は、ネット上で盛大に言い立てはしても現実の世界では何もしない。ただ、誰かがしてくれるないかと期待して待つだけだ。
これは自発的に(当時流行の言葉で言えば「主体的に」だ)行動する若者に手を焼いた当時の政府が目標とした、権威に従順な国民を作る教育(脱戦後教育)の成果なのかもしれない。この教育では、自分で判断せず権威に従順であることが訴求された。そしてその為に、「かわいそう」と「おもいやり」を旗印として子供たちが自主的に行動しなくて良い環境が整備された。
こんな教育を受けた者達は、不満をネットで言い立てるだけで誰かが代わりにしてくれることをただ待っている。そして、現実世界では発言も行動もしない。
SFに、人々が肉体を捨てバーチャル世界に移住することで永遠の命を得ると言うものがあった。そんな世界は、ネット世論の主流の者達には適しているのかもしれない。その世界にリセットボタンがあるのかどうかは知らないが、大金持ちが自分の思うがままになるバーチャル世界を作ってその中で暮らすことは可能になるかもしれない。バーチャル世界の沙汰も金次第だ。
少し前になるが、あるメディアのサイトで「B層」という表現を見つけた。最近流行の「B級ナントカ」にならったような言葉だが、その説明によるとメディアやネットの情報を鵜呑みにし、簡単に操作される人たちのことだという。
この人々は「~が流行っている」とメディアやインターネットで流されるとそれを信じそれに乗り遅れまいとする。「このこだわりの店がおいしい」と報じられると、閑古鳥が鳴いていた店に行列ができる(これは私も見たことがある)。
要するに自分自身で判断する能力を持たない人々だ。
困ったことに、昨今はこのような「B層」国民が大増殖して国民の過半を占めているようだ。「B層」国民は政治行動でも簡単にメディアに操作される。「郵政改革」にも、「民主党政権成立」にもそれが顕著に表れている。「大阪維新の会」についてもこれが見られる。「維新の会」は小泉氏にならって悪役を作り、それに対する非難にメディアを利用することで勢力を広げようとしている。これは戦前の大政翼賛政治やナチス、そしてロシア共産党にも共通に見られた戦略だ。彼らも宣伝に新聞やラジオ放送など、それぞれの時代の先端メディアを最大限に利用した。ナチ党に至っては、宣伝を担当する宣伝相が公然といたほど宣伝(アジテーション)を重視した。
「B級国民」が日本をファシズムに導こうとしている様に見える。
と言ってもこれは北朝鮮の話ではない。
昨日、インドが長距離ミサイルの実権に成功したと報じられた。しかし米国はこれ非難するそぶりもない。核実験を行った際も表だった非難はしなかった。理由は明白だ。
インドは米国が敵と見なす中国との間で国境紛争を抱え緊張関係にある。また、インドで多数を占めるヒンドゥー教はキリスト教徒敵対関係にはない。また近年は親米的であり、米国にとってインドは言いなりになる従属的関係だとも見ている。つまり、インドは敵の敵である故に味方であり、非難する理由はないと言うわけだ。
これに対し、インドと国境紛争を抱えて潜在的に親中国であるパキスタンの核実験に対しては非難を行っている。これはキリスト教に敵対するイスラム教国であるという理由も加わる。つまり信用できない、敵になり得る国だからだ。
同様の理由で、イランの核開発やミサイル開発は非難するが、イスラエルの核開発やミサイル開発には知らぬ顔を決め込む。アメリカの国教であるキリスト教にとっては、イスラエルは教義上不可欠の存在だからだそうだ。そしてアメリカの顔色をうかがう日本の様な国々(先進国!)は、それを見て見ぬふりをする。
結局、世界はアメリカの都合だけで動いて行く。戦争もまたしかり。
新たな国宝や重要文化財の候補が答申されたと報じられている(asahi.com記事;「山形の芸術的な土偶、国宝に 文化審議会答申」)。これには旧網走刑務所の建物やメートル法原器など興味深いものが含まれているが、一際目を引くのが国宝候補の山形県で出土したという土偶だ。
私の土偶のイメージは、乳房、腹、そして尻を強調したビヤ樽体型の女性像だ。しかし今回のこれは乳房と腹が小さく、強くくびれたウエストを後方へのヒップの張り出しが強調している。そして細身で足が長い。まるで20世紀の半抽象近代彫刻の女性像のようだ。
この一風変わった、そして美しい姿の土偶が、どんな目的でどんな思いで作られたのか興味深い。
最近頻繁に見かけること。
1.気に入らぬ相手を無責任と非難する事。
無責任だという非難は、根拠を示さずにできる。だから無責任にいくらでもできる。その結果、非難する側が無責任に見える事例が少なくない。
2.信用できないと非難すること。
これもまた、根拠を示さずにできる。だから無責任にいくらでもできる。筋が通らなくても、反対のための口実として好都合に使える。
1990年代から、太陽活動がおかしいのではないかという報告がいくつも出されてきている。現在の黒点周期がこれまでと大きく異なることも確認されている。そして今日、太陽活動の異変がまた報告されたといくつかのメディアが報じている。
それは国立天文台などが太陽観測衛星「ひので」のデーターから発見したもので、太陽の北極周辺で磁場が消失しつつあるというものだ。詳細は元記事(国立天文台;太陽観測衛星「ひので」、太陽極域磁場の反転を捉えた)を参照してほしいが、通常は南北両極の磁場が同時に消失/反転するのに対し、今回は過去の記録から予測されていたよりも1年早く北極だけが消失し始めているのだという。
これまでにも、今回の黒点周期はこれまでに較べて太陽活動が著しく低調であることはいくつも報告されてきた。それは周期が長くなっている、極大期の黒点数が著しく少ない等だ。このため、今後、気候が寒冷化に向かうのではないと言う説(研究報告)がいくつか出されている。さらに1990年代には太陽からのニュートリノ放射が理論値に較べて著しく少ない(これには異論もある)ので、将来長期に亘り太陽活動が低下する可能性があると言う説も提唱された。
太陽活動が低調とは言っても、太陽が放射する熱エネルギーの減少はごくわずかなので、気候への影響はほとんど無いと言う意見もあり、地球への影響は定かではない。ただ、今回のような黒点周期の変調は歴史記録に残された小氷期とも呼ばれる寒冷期(代表的なものは17世紀後半のマウンダー極小期で、凍結したテムズ川でスケート遊びをしている銅版画などが残されている)にも起きていたと考えられているので、寒冷化に結びつけた報道がされているようだ。
科学では、単純化しなければ物事を取り扱えないので、研究対象を周辺の事象から切り離して独立したものと考えることが多い。これは「科学的方法」の限界で致し方がないのではあるが、今回の報告は中期気候変動の原因を地球内に限って考えていても良いのかと言う問題提起ではある。
同じ様に議論の対象を周辺事象から全く切り離してしまうことは、「科学的」な事柄以外にも多い。日本国内の社会問題を、完全に国外とは切り離し相互作用がないかのように議論する(「日本特別論」とも言う)ことが多いのもその一例だ。これは大いに反省しなければならない。
また、太陽活動が低調になるから温暖化対策は緩和しても良いと言うのも、心得違いと言うべきだろう。
太陽活動の変調については下記のサイトにある記事もご参考に。
1.NASA/Marshall Space Flight Center
記事;The Sunspot Cycle
記事;Solar Cycle Prediction
2.NASA/Solar and Heliospheric Observatory
3.PMDC WRC/VIRGO
4.国立天文台
サイト;ひのでホームページ
関連するブログ内記事
1.寒冷化が100年以上続く?(2011/06/27)
2.太陽活動が低調期入り(2011/06/26)
3.太陽が冬眠する?(2010/03/10)
4.地球の将来は温暖化? それとも寒冷化?(2009/06/05)
北朝鮮が、ロケット打ち上げ非難の国連安保理議長声明を理由に米朝合意の破棄を表明した。
今回の米朝合意が成立した時から予想された筋書き通りの展開だ。
同じ筋書きで同じことを繰り返す北朝鮮、また性懲りもなくそれに乗る米国。選挙用の国民受けを必要とする米国と、その必要のない北朝鮮との間で繰り返される、なれ合いの猿芝居と言ったところか。
北朝鮮が何を言おうが取り合わないのが最善だ。いわゆる人道援助を含めて何も北朝鮮に与えるべきではない。北朝鮮が日本や韓国を攻撃するのではないかと怯える人たちもいるが、それが自殺行為であることは北朝鮮首脳部自身が良く心得ているはずだ。今まで体制を持ちこたえてきた彼らは、勝てる目処の無いまま太平洋戦争を始めた日本政府ほどの馬鹿ではない。
![]() | 最近のバスの運転席は昔とは様変わりしている。しばらく前から気付いていたがよく見る機会がなかった。 |
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拡大してみるとこんな感じ。 |
追記(2016/01/13); |
MLB(米大リーグ)の放送を見ていて、日本とは異なっていて面白いと思うことがいくつもある。その一つがファウルグラウンドの球拾いだ。
日本でも少年ファンがこの役目についているのを見かけることがあるが、MLBでは少女たちが目立つ。恐らくファンの希望者から抽選などで選ばれているのだろうが、中には見事な捕球を見せる者もいる。また、拾ったボールをスタンドの子供に手渡しする姿もほほえましい。グラウンドと客席の距離が近いMLBならではのことだ。
MLBはできる限り多くの人に、それぞれのやり方で楽しんでもらおうとするようだ。グラウンドボーイに少女も参加できるというのもこの現れだろう。この点、球団が雇ったアルバイトと思われる少年が大半に見える日本のプロ野球とは大きな違いがある。また応援の様子も自然発生的で、応援リーダーに従って一緒にというワンパターンな決め込みが多い日本のプロ野球とは異質だ。
昨日の散歩中(2012/04/15 15:00頃)、六甲山の上空に面白い雲が出ているのに気がついた。それが下の写真。 |
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短い棒状の雲がずらりと並んで、まるで階段か梯子のようだ。さほど珍しくもない畝雲の仲間だが、曲がらずにまっすぐなところが面白い。 |
若者は言う、年寄りなどさっさと死んでしまえと。しかし景気を左右する一般消費は、その年寄りに依存する割合が高い。今後年寄りの死亡が増えるにつれ、一般消費が収縮して製造販売業を圧迫する。これは景気をさらに悪化させ、若者の就労機会を奪うことになる。
また若者は言う、社会保障費を減らすため年寄りを働かせろと言う。それは現在は働く場所がない年寄りの就労機会を増やし収入を増やす。まだ、体力を保っている年寄りは歓迎するだろう。
しかしこれは一方で、若者の就労機会を奪う。多くの分野で、未訓練の若者よりも訓練済みの年寄りを安く使う方が企業にとっては有利だからだ。60代になれば、子育てを終わっているものの比率が高くなり、40代や50代よりも少ない収入で生活の質を維持できる(*)ので、より若い年代よりも安い賃金で満足して働ける。従って、年寄りの就労は雇用する側にとっても雇用される側にとってもメリットになるが、若者にとってはデメリットになる。
高齢化社会の経済は良くも悪くも年寄りの消費支出によって支えられている。若者やそれに迎合する「経済専門家」の主張とは相容れない要素が多数あるのだ。
日本経済の現状はこのように「あちらたてればこちらたたず」の関係が複雑に入り組んでいる。「こちらたたず」の相手が複数の場合も多い。それを一つ一つ丁寧に解きほぐして行かなければ、解決の糸口は見つからないだろう。
(*)もっとも負担が重い就学資金が不要になるため。
補足;
「科学的」手法では、物事の「単純化」から始める。これは単純化しなければ取り扱いが容易な数式(関係式)にすることができないからだ。しかし単純化をやり過ぎると、周辺へのあるいは周辺からの重大な波及効果(副作用)を見落とすことになる。これは多くの物事が複雑に絡み合う「社会科学」ではしばしば起きる失敗だ。
同じ様な失敗は「自然科学」でも時折起きている。特に「複雑系」と呼ばれる考え方が用いられる分野(「地震学」や「気象学」など)では起こりやすい。これは取り扱いやすい要因のみを取り上げ、関係が複雑すぎて単純な関係式では取り扱えない要因を除外することで起こる。
北朝鮮が早々とロケット打ち上げ失敗を国内に公表した。これは前例がないことで、北朝鮮の変化の兆しを示すものかもしれない。
なぜならば、今回の打ち上げは金正日氏の偉勲によるものだと伝えられているからだ。その事業に失敗したことを公認することは、支配層の威信を傷つけることになる。このことから今回の失敗の責任を、打ち上げを強行させた長老層にとらせ、政権中枢部から追放する手段にすることも考えられるからだ。
つまり、金正恩氏にとって邪魔で目障りな長老を排除して、実権を握ろうとすることも考えられる。その上で、金正恩氏が自分流の支配を目指す可能性がある。別の言い方をすれば、権力を自分に集中して独裁を確立するための手段とすると言うことだ。日本でも、主君の代替わりに伴って後継者が先代の重臣たちに難癖をつけて排除するのはしばしばあったことだ。
前例がないことをしたと言うことは、何らの変化が生じていると言うことだ。何が起きているのか、慎重かつ冷静に見極める必要がある。
石原新党の設立が、石原氏自身の意向によって頓挫させられた。また、始めから仕切り直しになる様だ。
一部に根強い人気があり、石原天皇とも揶揄される石原氏を担いで錦の御旗にとの思惑で動いているのだが、担ぐ方の思惑と担がれる方の思惑が一致しないようだ。幕末から第二次大戦敗戦までの天皇のように、担いでしまえばこっちのもの、担ぎ手が好きなようにできる、と言うわけにはいかないのだろう。
打ち上げ準備中の北朝鮮ロケットの映像が盛んに報道されているが、それを見て1960~1970年代の米ソのロケット打ち上げにそっくりだと感じた。発射台の構造や、組み立てを発射台上で行う等が理由だ。
さらに燃料もヒドラジン/過酸化水素という大時代なものだそうだ。この燃料は、常温で取り扱え点火装置が不要、等の理由で1960年代には多く用いられた。だがその後技術が進歩して液体酸素を酸化剤として利用できるようになると、ケロシン/液体酸素になり、さらに液体水素が利用できるようになって液体水素/液体酸素が大型ロケットのメインエンジン用燃料の主流になった。つまり北朝鮮はまだ、液体酸素や液体水素をロケット燃料として用いる技術が無いことになる。前回のミサイル実験の映像で、窒素酸化物を含むオレンジ色の排気がもうもうと立ちこめていたのも、ヒドラジン/過酸化水素を燃料として使っていたのだとすれば理解できる。
一方、ICBMやIRBMなどの兵器用ロケット燃料も現在は固体燃料が主流だ。理由は素早く発射できるからだ。冷戦時代、敵ミサイルを探知され、反撃命令が出ると数分以内に発射しなければならなかった。何時間もかけて液体燃料を注入していては、その間に敵ミサイルが到達してしまう。固体燃料も、初期には長期貯蔵安定性に問題があったがその後大きく改良され、数年間は交換が不要だと聞く。
この点、北朝鮮ロケットが固体燃料の外部ブースターを装備していないことにも注目すべきだ。現在はまだ、大型固体燃料を製造できないのだろう。そう言えば、日本は固体燃料の小型ロケットから開発を始めた。大型液体燃料ロケットを打ち上げられるようになって、日本も一人前に近づいたと感じたことを思い出す。
さらにもう一つレトロに感じる理由がある。それ、は旧ソ連流にメインエンジンに小型のものを束にして使っていることだ。これは米ソ宇宙開発競争時代に、大出力エンジンを短期間で作れなかったソ連が編み出した手法で、今もソユーズを打ち上げるプロトンロケットで用いられている。だがこれは兵器用ロケットとしては有利とは言えない。部品点数が増えるので製造やメンテナンスに手間がかかるからだ。
と言うわけで、北朝鮮ロケットが米国にとって脅威と言えるようになるのは、大型固体燃料ロケットの開発に成功してからだろう。
原子力発電所の運転再開に関する決定がまたしても先送りされた。日本政治得意の先送りだ。
もっとも、次の選挙が近づいている状況では、大半の候補者が「私は再開に反対だ」と言いたいだろうから、積極的に賛成するものはおるまい。国家にとって必要かどうかより、票が優先というのはいつものことだ。
この様子では、総選挙後の次政権ができるまでは、再開の有無の最終判断はされないだろう。代替エネルギーの短期間の整備には莫大な費用が必要だし、震災復興もまた莫大な費用を要する。どちらも公務員人件費の削減でどうにかなるレベルではないことは歴然としている。ここで増税も先送りとなれば、日本経済の復興は遅れるばかり。
この様子では、原子力発電所問題とともに雇用問題も震災復興問題も全て先送りになりそうだ。
原子炉事故といい、北朝鮮ミサイルといい過剰反応がまかり通る。
官民揃って騒ぎ立てて不安を煽る。どちらも自己陣営のための政治宣伝の色彩が強い。
北朝鮮が打ち上げると予告しているロケットを迎撃すると、政府や防衛省が大変な意気込みだ。だが私はそれにすっかりしらけている。
理由はいくつかあるが、その第一はこれが北朝鮮に対する反感を煽るための政治的宣伝であることが見え透いていることだ。北朝鮮が日本にミサイルを撃ち込もうとしているかのように思い込ませて反感を煽る、これが重要な目的であることは明白だ。
その2は、ロケットが衛星打ち上げなのかミサイルの実験なのかどちらにしても、現実に日本に落ちてくる可能性は極めて低いと言うことだ。大型ロケットは全て(軍用ミサイルであれ衛星用であれ)軌道を逸れた場合のために自爆装置を積んでいる。日本もこれまでに何基も打ち上げ失敗で自爆させている。自爆したロケットの破片も、迎撃ミサイルで破壊されたロケットの破片も大きさでは大差あるまい。そして、破壊後の破片の落下を止めるすべはない。つまり、迎撃しようがしまいが、軌道を逸れた場合の落下物による危険は大差ないと言うことだ。
その3は、予定軌道下の水陸比だ。地図を見れば一目瞭然だが、この範囲の陸地はごくわずかだ。日本政府が大騒ぎで宣伝している程、陸上に何かが落下する可能性は高くない。日本政府が宣伝するほど信頼性が低いのであれば、狙ったとしても落下してこないだろう。
他にもいくつかあるが、それやこれやの政治宣伝のドタバタに、私はすっかりしらけている。韓国が日本列島越しに衛星を打ち上げる場合にはこんなに騒ぎはするまいにとも思う。
米国がイージス艦や艦艇を派遣してきているのは、落下物の危険性とはまた別の理由だ。米国がイージス艦とともに多数の艦艇を派遣して来た理由は、軌道を解析してロケットの性能を知ること、そしてあわよくば東シナ海に落下するであろう2段目や3段目を回収することだ。今回の打ち上げ方向が衛星打ち上げには不利な南であることは、極力中国軍の勢力範囲内に燃えがらを落下させて米軍による回収を困難にする、それが理由であるかもしれない。東に向けて打ち上げて、燃えがらが日本海や太平洋に落下すれば、米日韓三カ国にとっては回収活動がやりやすい。
自衛隊のイージス艦や迎撃レーダーの展開は、政治宣伝の他、このような米軍の活動の支援という要素もある。危険を言い立てていれば、このような装備の展開に対する批判を押さえられると言う期待もあるだろう。いやむしろこちらが主目的で、大げさな政治宣伝はそのいいわけが本当の目的と言っても良いかもしれない。
追記(2012/04/13);
ロケットは予定軌道を外れたため爆破されたようだ。そして、残骸の大部分は韓国のEEZ(排他的経済水域)内に落ちたと推定されている。韓国と米国にとっては北朝鮮や中国に邪魔されずに捜索できる海域だ。結果的に米韓には絶好のプレゼントになったといえる。
NHKの番組によるとドイツは好況だそうだ。失業率は東西ドイツ統一後の最低で、消費者の購買意欲も高いという。
その理由は製造業の好調で、それはユーロ安に支えられているのだそうだ。
と言うことは、ヨーロッパの金融不安の恩恵を受けての好況だと言うことになる。別の言い方をすれば、他国の犠牲に支えられた好況とも言える。その意味では、財政危機による不況国、あるいは不況による財政危機国(これは多くの場合タマゴとニワトリの関係にある)救済への拠出を増やせと言っても良いのかもしれない。
しかしいつも感じることだが、ドイツは伝統的に製造業を大切にし、日本の様に安易に製造拠点を海外に移転したりはしない。海外に製造拠点を作るとしても、それは国内生産の能力不足を補うためであることが多い。また、主力製品の生産拠点を海外に作ることも少ない。これが不況の日本と、好況の同一の違いの原因の一つかもしれない。
国家よりも企業の利益を優先する日本企業と、自国に対するプライドが高く、国家と企業の利益の両立を図ろうとするドイツ企業との違いは大きい。
出口が見えない日本の不景気だが、対策は相変わらず金融緩和一本槍のようだ。それ以外には芸がないのかと言いたくなる。
これまでの実績を見てもこれ以上金融緩和を続けても効果がないのは明らかだ。なぜか?それは金融緩和策として市中に供給される資金の多くが投機に回り、雇用を増加させる様な投資に回らないからだ。
これを改善するにはどうすればよいのか?それは戦後の失業対策事業のような労働集約的な事業に直接投資することだ。もっとも、若年労働者の多くが大卒となり、労働集約的な職業に就くのは不面目として回避する現状の意識の改革も必要だが。
少なくなったとはいえ、まだ外国からの出稼ぎ労働者は少なくない。彼らが働くような分野は、日本人の若年労働者は軽蔑して嫌う。出稼ぎ労働者が若年労働者の職業を奪うと非難されながらも、実際には出稼ぎ労働者抜きではマンパワーが確保できない例もあるようだ。
しかし、震災被災地の復興に労働集約的な事業を行えば、労働市場の改善と復興促進の双方に効果あると期待できる。震災復興に貢献する良いことだというような雰囲気作りを工夫すれば、そのような仕事ででも働こうという意識改革もできるはずだ。国も地方自治体も是非とも挑戦すべきだと考える。
先に書いた記事で予想したとおり、亀井氏が離党に追い込まれた。
原因は亀井氏の勘違いにある。「俺が中心になって設立した政党だから、俺の好きなように運営できる」、それが間違いなのだ。これは鳩山氏が犯した(今も犯し続けているが)「民主党は鳩山家の政党だ」と同じ間違いだ。たとえ自分が中心になって作ったとしても、政党は設立した瞬間に公共のものとなる。もはや個人の思うままにはできないのだ。
それが通用するのは、ナチスやソ連共産党のような独裁者によって運営される政党だけだ。
補足;
もっともこれらの独裁政党は、構成員の意志を超えた党そのものの意志による独裁だと言う人もいるだろうが。
党そのものの意志はなぜできるか?それは他人と違うことを恐れて、「普通」であろうと互いに空気を読みあっているうちに生まれてくるのだ。言い換えると、批判を恐れて他人に迎合しようとしているうちに、各人の意志とは無関係に党の意志が生まれ、党員を縛るようになる。それは多くの場合、独裁者自身をも縛るのだ。
急成長した強力な温帯低気圧による暴風が荒れ狂っている。神戸でも3日の2時頃に猛烈な雨が降って、窓の外が水しぶきでよく見えないほどだった。また、BS放送がしばらくの間受信できなくなった。激しく降ったのは30分ほどだったが、2時前後の10分間には37mmが降り、神戸での新記録だったそうだ。
今日(4日)も東北・北海道で暴風が続いているようで、猛吹雪になっているとこともあるという。いくら北海道と言っても、4月に入って低地での大雪は珍しいだろう。
台風並みも低気圧と解説されているが、温帯低気圧の特徴は強風が吹く範囲が広いことだ。このため悪天候が長時間続くことが多い。また、接近するにつれて勢力が弱まる台風と違って、千島列島を過ぎても発達を続けることが多い。これもまた、荒天が長く続く理由だ。
このような温帯低気圧は冬の終わり近くから春に日本付近を通過し、昭和30年代までは北洋で操業する漁船団に多くの被害を出していた。最近はそのような遭難は少なくなったようだが、漁船が大型化して耐波浪性が良くなっているのだろうか。
この嵐は、北海道では明日も続くと予報が出ている。大きな被害が出ないことを祈りたい。
三井・住友グループの信託銀行三行が合併した。新銀行の本社は東京に置かれ、東京・大阪両本社制はとられないようだ。また、住友グループの大企業が大阪を見捨てたことになる。
関西系大企業が次々と大阪を見捨てて行くが、その最大の理由は政府中枢から遠いこと、そして日本各地への交通が不便なことの二点だろう。
前者は戦前から続く政府機関や政治家たちの体質だ。政府機関や中央の政治家たちは何かに付け民間企業の政府関係担当者を呼び出し、情報を求めたり要求を突きつけたりする。そしてその呼び出しに直ちに応えなければ機嫌を損ね、報復を受けることもある。だから、東京以外に本拠を置いている大企業も政府機関や政治家に対する窓口は東京に置いている。そして、その窓口は本社機能の一部であり、幹部の直轄になっていることが多い。また、企業幹部が政府機関や政治家の呼び出しに応じて出かけなければならないこともある。その為に担当役員を東京に常駐させている企業も多い。他企業との折衝や業界団体の会合も、東京に本社多く企業が多いため東京で行われることが多い。これらは全て本社機能を東京に集める動機になる。歴史的なしがらみから2本社制がはやった時期もあったが、経費節減のため本社を東京のみにする例が多くなった。もっとも10年以上も前から、大阪本社は空洞化してしまった企業が多かったのではあるが。住友系でもそれが当てはまる企業は多い。
後者は、新規に設立される企業が東京に集中しており、東京立地の理由として取引先や同業他社へのアクセスがよいことがあげられることが多い。東京に窓口を置いている企業が多いことの他、日本各地への足の便が良いことが理由だ。それに較べると、大阪は足の便がはるかに悪い。取引先へ最短時間で行けるルートが東京経由になることも多いのだ。これは大阪立地を否定する大きな動機になる。
それやこれやで、ますます大阪の地盤沈下が進み、それが地盤沈下にさらに拍車をかける。かつて訪問した住友系大企業の大阪本社内に人がほとんどおらず、デスクも広いフロアの一部にしか置かれていなかった光景が、地盤沈下した大阪経済の現状に見事に重なる。
恐らく、大阪経済の地盤沈下対策の重要な要素はアクセスの改善であり、もう一つは政府機関や政治家との政治的関わりが少なくて済む中小製造業の振興だろう。家族の後継者がいない企業を従業員が集団または個人で引き継ぐ際の金融的支援など、地方自治体にできることは多数あると思うのだが・・・・。
東海・東南海地震による津波の新しい予測が出された。昨年の東日本震災以後の流行に乗った巨大災害予測と言っても良いかもしれない。
このような「大きめ」の予測が出される背景はいくつかあるが、それについては別稿で述べよう。
このような巨大津波の予測に接して、関係自治体は困惑していると言う。それは当然だろう。高さ30mを超えるような津波を堤防で食い止めようとするのは非現実的だからだ。被害が予想される地域全体にそのような堤防を作るには天文学的な経費が必要であり、これを短期間で建設しようとすれば国も地方自治体も大幅な増税が必要になる。増税を押さえようとすれば、蓮舫大臣があざ笑った100年200年の計画になる。さらにまた海岸の景観や自然も大規模に破壊される。だから巨大堤防で巨大津波を食い止めようとするのは利口なやり方ではない。
それならどうすればよいのか?それは津波をやり過ごす方法を考えることだろう。高い場所までの距離が長ければ、水没しない高い建物を避難所に利用することは誰でも考えることだが、30mと言えば10階建て以上のビルディングが必要だ。そのような高層ビルの数が不十分な地域も多いことだろうし、既存のビルがそのような津波の衝撃(水圧)に耐えられるかどうか再検証が必要だろう。さらに、新規に地震と津波の衝撃に耐える高層の建物を、避難目的だけに作るのは建設費と維持費の両面で合理的ではない。そこで発想を変えて水没に耐える避難所を作るという選択もあると考える。
それはどのようなものかと言えば、低層または地下の水密構造物で数時間の水没に耐えられるようにすればよい。そして、平時は倉庫や駐車場などに利用して維持費の一部を賄うのだ。災害時用物資の備蓄場所に使っても良い。水没中の空気浄化等の動力は、液状化対策を講じた地下ケーブルと非常用発電機を利用すればよいだろう。
この他にも異なる発想による対策はいくつも考えられるだろう。はね返すことができない巨大自然災害に対しては、正面から力業で立ち向かう以外にも、自然の力をしなやかにそらせてやり過ごす考え方も必要だ。
最後にもう一つ。1000年に一度の自然災害に備えるためのこのような施設は、1000年以上補修や改修しながら使い続けられるシステムであることが好ましい。政治家も住民も、施設の設計者にも、国家1000年の計をたてられるだけの知恵が必要だ。目先の利益にとらわれてはそれこそ無駄な施設になってしまう。
最近都市インフラの老化が話題になっている。高度成長期に建設された高速道路や橋梁などの一部で、設計時の想定を超える交通量や積載重量増によって急速に痛み始めているというのだ。そして各自治体はその補修費用をまかないきれなくなってきているという。
実は同じ様なことは30年ほど前、米国で問題になっていた。もっとも当時は、これは米国病の一部で、米国社会の病理を反映しているもので日本ではこのようなことにはならない。しかし今、そのならないはずの状態に日本が陥っている。つまり、この状態は成長期を過ぎた国の全てが陥る可能性があると言うことだ。
このまま放置すればインフラの劣化が進み、都市構造の崩壊にもつながりかねない。一体どうすればよいのだろうか。
これに対してはいろいろな提案はされているようだが、どれも副作用があるため広範囲に適用できる標準手法を作るのは難しいだろう。各都市の、そして各施設の事情に応じて、新規補修資金獲得の手法の考案や必要度が低下した施設の廃棄・撤去などを組み合わせることが必要だ。
ところが老化の一方で、都市インフラの建設は続いている。これらも40~50年後には劣化し補修や維持の費用がのしかかってくる。それを考慮し、今後の建設を減速することも必要だろう。建設減速は景気を後退させるとの意見もあるだろう。しかし、一方で補修工事に必要な費用も資材も増加して行く。建設費用を補修費用に振り向けることになるので、全体としての景気維持効果は代わらないはずだ。
ここで一度立ち止まり、50年後や100年後の維持費用を考えた建設計画を立てるべきだろう。
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