パイプをくわえて口笛が吹けるか?
政治情勢もなにやらだれ気味で、永田町猿芝居が復活しつつあるようだ。民主党の議員達には相も変わらず立場を心得ない者が続出しているし、自民党の議員達もさっぱり意気が上がらない様に見える。
と言うわけで今日は閑話休題と言ったところで、「パイプをくわえて口笛が吹けるか」と言うことについて書いてみたい。
しばらく前、ある番組で一昔前の大歌手が語っていた(どの番組だったか、誰だったのかも忘れてしまった)が、戦後間もない頃の歌謡曲や映画で「マドロス物」が流行した時期のことだ。ある大流行した曲の歌詞に「パイプくわえて口笛吹けば・・」という一説があったのだそうだ。若い頃にそれを歌った歌手が、自分も大歌手になった後、それを作詞した大先生に「こんなことができるのか?」と訪ねたというのだ。問われた大先生は「昔はいい加減だったんだよ」と答えたという笑い話だ。
しかし、パイプをくわえて口笛を吹くのは全くの不可能事ではない。唇を使わずに口笛を吹く方法があるので、これを使えばメロディーを吹くことは(一応)可能だ。昔、ヘビースモーカーだった時代にたばこをくわえたまま口笛が吹けないかと試みたことがあるからだ。
そんなことを考えたのは、カナリー諸島の口笛語を紹介するテレビ番組を見たのがきっかけだ。その中で、指笛を使って音を出す者と唇を使わずに口笛を吹く者の両方がいた。それを見て、唇を使わずに口笛が吹けるならばたばこをくわえていても吹けるのではないかと思いついたのだ。画面で見た限りでは、歯と舌を使って音を出しているようなのでマネをしてみると何とか音が出せた。それでたばこをくわえてやってみると、いい音は出ないが何とかメロディーを作ることはできた。
ただ、紙巻きたばこを唇で支えてメロディーを吹くのは難しい。歯でくわえると簡単なのだが、これでは紙巻きたばこの吸い口をかみつぶしてしまいがちだ。と言うわけで、鉛筆のような固い物を歯でくわえている時の方が易しかった。当然パイプをくわえていても可能だ。
と言うわけで、「パイプをくわえて口笛を吹けるか?」という質問の答えは「できないことはない」と言うことになる。
ところで、この技術を応用するとモンゴルの「ホーミー」のまねごともできる。唇を使わずに口笛を吹く時は、舌と上あごの間に狭い隙間を作り、ここから息を出しながら、舌で共鳴空間を作って音を調節する。高い音の時は主に舌の上側を使い、低い音の時は主に下側を使う。この時に同時に声を出すと「ホーミー」そっくりの音になるのだ。乱暴に言えば、口笛を吹きながら声を出している状態と言うことになる。声帯で出す音と、口の中で共鳴させて作る音の両方を同時にコントロールするのは非常に難しいので修練が必要だが、一応それらしい音を出すのは難しくない。
パイプをくわえて口笛を吹くことも、ホーミーのまねごとも、どちらも全く意味のないいたずらだが、暇人はお試しあれ。
そうそう、最近見たテレビ番組中で、ヨーロッパの羊飼いが牧羊犬を操作するのに唇を使わない口笛を使っていたのも思い出した。このやり方は、唇をとがらせて出すよりも高く鋭い音を出せるので、高音が良く聞こえる犬に指示を出すのに向いているのかもしれない。指笛を使っているのも見たことがあるが、羊飼いの象徴である杖などを持って手がふさがっている状態ではこの方が便利なのだろう。
追記(2016/11/22);
最近入手した北欧の伝承音楽を集めたCDの中に、モンゴルのホーミーそっくりの2音同時発声で歌っているものがあった。ホーミーもモンゴルのみと言うわけでは無く、世界各地にはよく似たものがあるらしい。
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