放射線生涯被曝量ただし自然放射能による被爆は除く
放射線生涯被曝量の限度の案(100mS、ミリシーベルト)が発表されたが、自然放射線による被曝は除くと言うことになった。
その理由は、日本には元々自然放射能が高い場所があるからだ。(これは日本地質学会サイト,産業技術総合研究所 地質調査総合センターサイト,放射線科学センター サイト等で見ることができる。)また、これらのサイトには自然放射能による平均年間被曝量の内訳が書かれており、その中には食物経由の分も含まれている。
これらによると、自然放射能による日本での平均年間被曝量は1.4mS(平均寿命を80歳とするとこれだけで100mSを超える)、全世界平均では2.4mSだという。さらに、地下街などでは生涯被曝量に換算すると100mSを超える場所も珍しくはないようだ。また、火成岩が地表近くに多い場所や、火山、温泉の多い地域ではスポット的に高いところもある。そのような場所(いくつかの有名温泉地が含まれる)ではこれの数万倍を超える値が測定されたこともある。
従ってそのようなことを考慮すると、自然放射能を含めた場合の限度はとても定められないと言うことになったのだろう。それどころか、高自然放射能地域の存在とそこでの放射線強度が広く知られるようになると、除染や避難区域の設定にも影響することになる。なぜならば、上記のような高自然放射能地域にも多数の居住者がいるからだ。
そう考えると、食物による人為的放射能を区別して扱うことに意味があるのか疑問を感じる。また、自然放射能と人為的放射能をどう定義して区別するのか、これも重要な問題となる。まさか人間に有害な放射能と有益な放射能(ラドン信者はそう主張している)を区別して扱おうとするのではないとは思うが。
いずれにしても今回、自然放射能による被爆を除くことにしたのは、自然放射能が地域によって大きく異なると言う事実に加え、何が何でも「100mS以下」という「比較的低い」数字を前面に押し出したいという意図も働いたと考えると理解しやすい。
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