操業日振り替え
電力不足対策で、製造業大手を中心に操業日を終末に振り替える動きが出ている。この報道を見て、私の若い頃を思い出した。
私が就職した昭和40年代後半、大気汚染が深刻化して大都市は光化学スモッグに悩まされていた。光化学スモッグは紫外線が強い盛夏の日中にひどくなるので、昼近くになると光化学スモッグの注意報や警報が頻繁に出された。
光化学スモッグは肺癌や喘息の原因になるので、注意報や警報が出ると火力発電所やボイラーを持つ事業所は、地方自治体からボイラーの稼働削減が要求された。このため、事業所は電力や蒸気不足から操業の部分的、あるいは全面的な停止に追い込まれることが多発した。私が勤務していた化学工場では、操業の即時停止や変更は不可能(化学反応は急には止められない)ので、ボイラーの稼働率を低く設定して操業計画を立てる様なことも必要だった。もちろん、当時普及し始めたばかりのクーラーは、必要不可欠ではないとして全面停止だ。
これを避ける為、地方自治体や電力会社から大規模な事業所に対して、週末に操業して平日に休止する操業日振り替えが要請され、多くの企業がこれに応じた。振替期間は7月はじめから9月中旬までが多かったと思う。レジャーに出かけるのに都合がよいと喜ぶ者もいたが、出納部門などは決済などのため、操業休止日にも交代で出勤しなければならないので不満も出たようだ。また、家族や友人などと休日が合わないので困ると言う意見もあった。
これは、大規模事業所の大気汚染対策が進み、さらに2次に亘る石油ショックで製造業の稼働率が落ちた昭和50年代初めまで数年間続いた。
その後、国内での光化学スモッグ対策(他の公害対策も)が進んだため、このような話も聞かなくなったが、今回の大規模な操業日振り替えはそれ以来だろう。
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