安藤美姫と浅田真央
安藤美姫と浅田真央の立場の逆転がネットを賑わせているようだ。それについて、浅田真央を批判するもの、擁護するものの間の応酬も大変なものがあるようだ。
しかし、浅田真央が脚光を浴びている間、安藤美姫は年齢の壁に苦しんでいた。そして、安藤美姫は年齢の壁を抜けて復活したが、浅田真央は今そのまっただ中にいる。
それだけのことだ。
二十歳前後の数年間、女性は体の質が変化する。入学したばかりの女子大生は子供子供した体型だが、卒業する頃にはすっかり大人の体型と雰囲気を身にまとっていることでも分かるだろう。
その間、持久力、瞬発力、筋肉の反応速度なども変化する。それが、それまで頭の中に作り上げてきたイメージと、実際の体の動きとの間のずれを生じる。その原因が体重の増加や練習不足にあると勘違いして、不適切な減量や過剰な練習を行うと故障を繰り返して思うような競技ができなくなる。その結果、精神的に挫折したり、致命的な故障を起こしで競技生活を続けられなくなって表舞台を去る者が多い。これが年齢の壁の正体だ。
(実は男性もこの時期に変化はするのだが、より逞しくなる方向の変化が主になるので年齢の壁とは言われない。)
浅田真央がこの時期を抜けるには、まだ1年はかかるだろう。その間は焦らずに、体の変化に合わせてイメージを修正する練習に重点を置くと良いだろう。無理は禁物だ。だが、その間になすべき重要な課題がある。それは、壁を抜けて大人になった浅田真央の何を魅力としてアピールするのかと言うことだ。
15~16歳までは子供の可愛らしさだけで押し通せるが、ハイティーンになればそれだけでは不足だ。大人になればさらにまた別の要素が必要だ。これまでも、歴史に名を残す名選手は、うまく自分の特性をアピールしてきた。
ペギー・フレミングは優雅さをアピールして成功した。荒川静香もまた同じだ。ジャネット・リンは小柄な体を生かしたスピード感と笑顔で、カタリーナ・ビットは逆に大柄な体のプロポーションを生かした華麗さと力強さで、それぞれ観客を魅了した。そして、安藤美姫は容姿を生かした妖艶さを選んだようだ。
大人になった浅田真央が何を選ぶのか?十代後半、浅田真央はキュートさを選び、キム・ヨナはコケットリィを選んだ。この時期、浅田真央がキム・ヨナの後塵を拝することが多かったのは、技術の問題ではなく選んだポイントをどう具体的にアピールするのかというプロデュース力の差だったといえる。
壁の時期を抜けた浅田真央がどう復活するのか。これはコーチや振り付け師、衣装デザイナーなどを含めたチーム真央のプロデュース力にかかっている。有能なプロデューサーをチームに入れることを考えても良いだろう。
もっとも、今の日本にはソロプレーヤーの売り出しで実績があるプロデューサが見あたらない。アメリカを探すべきかもしれない。
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