炉心溶融への疑問
今頃になって、福島第一原子力発電所の原子炉では早い時期に炉心が熔けていたと言う。その根拠が炉心温度の時間経過分析結果であるように報道されているが、これにはいささか疑問がある。
というのは、地震発生の翌日、3月12日には一部のテレビ局で「炉心温度が2,300℃を超えた、2,800℃を超えた」と言うような報道も行われていたからだ。それを聞いていたからこそ、「避けられなくなった原子炉崩壊1,2」の記事を書いたのだ。
原子炉で使用される燃料棒はジルコニウム合金で被覆した燃料ペレットをステンレス鋼の菅に詰めた構造のものが多い。ステンレス鋼は1,500℃以下で、ジルコニウム合金も約2,000℃で、さらに燃料であるウランやウラン化合物も1,500℃以下で熔けてしまう。このため、報じられた温度が正しければ、炉心溶融はすでに始まっている。熔けていないのであれば、報じられた温度が間違っている。私はそう判断していた。
その後、報じられる温度は圧力容器表面温度に統一され、200℃台に変わった。そのことから、東京電力が炉心温度測定値は信用できないと判断したのだろうと解釈していた。
しかしここに来て、炉心温度が3,000℃(たぶんこれが測定限界)に達しており、炉心溶融が起きていた可能性が高いと発表した。これは炉心溶融が発生している可能性が高い事を隠蔽するが目的だったが、国際原子力委員会の査察では隠しきれないので公表したという可能性がある。
もしそうだとすれば、その隠蔽指示がどこから出たのか、それは解明しなければならない。もちろん、危急の状況下では測定値の信頼性を評価する余裕がなかったためという可能性を否定はしないのだが。
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