狂い始めた米国の対イスラム戦略
中東・北アフリカのイスラム圏で連鎖し始めた権力崩壊。これが米国の対イスラム戦略を大きく狂わせ、最悪の場合にはこれを崩壊させかねない危機に直面させている。
イスラム圏の長期独裁政権は冷戦時代にはソ連の庇護を受け、ソ連崩壊後は親米姿勢を見せることで権力を維持してきた。米国も、これらの独裁国家とその権力者達に経済的な見返りを与えることで親米につなぎ止めてきた。しかし、これらの国家の国民が権力に刃向かい、幾つかを崩壊させ、さらに幾つかを連鎖的に崩壊させようとしていることが米国の立場を微妙な状況に追い込んでいる。
国民に退陣を求められた権力を支持すれば国民の反感を買う。ただでさえ米国は反イスラム国家であると見られているだけに、これは深刻な問題になる。さりとて、今まで支持してきた政権を明瞭に非難すれば、これは他のイスラム国の権力者達に対米不信を抱かせる事になる。これらは共に米国のイスラム国家に対する影響力を低下させ、イスラエル防衛という重要な政策を不安定にする。
米国の対イスラム戦略は、イスラエル防衛と石油権益確保が最重要事項である。イスラム諸国に対する影響力が低下すれば、そのどちらもが不安定化する。米国にとっては非常にデリケートなさじ加減が必要であり、しくじれば重大な結果を招く。
そしてその影響は日本にも及ぶ。国会で馬鹿な政局論争をしている時ではない。主要政党の幹部達の危機意識の欠如には困った物だ。
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