日本型デフレスパイラル
最近「日本型デフレ」あるいは「日本型デフレスパイラル」という言葉をよく目にする。デフレ脱却のため「インフレ目標を掲げよ」という主張も目にする。しかし、庶民にとってはデフレもインフレもありがたくない。
ところで、「日本型デフレ」とは何だろう。いくつかの異なる定義があるようだが、共通しているのは「低金利を続けすぎて利下げによる刺激効果が無くなった状態」と言うことのようだ。しかし、今の日本経済低迷の原因は別のところにある様に思う。
ここしばらく日本の大規模小売業者は、売り上げが落ちると低賃金国に生産を移して、低コストで生産したものを輸入して販売することを繰り返してきた。マスメディアもこれを「価格破壊」と呼んでもてはやしてきた。しかし、その結果日本国内での製造が減少し国民の平均収入を減少させ、さらなる売り上げ減をもたらした。
すると大規模小売業者さらに生産を海外に移し、それがさらに日本人の収入を減らし売り上げ減につながる。日本の経済はこの悪循環に陥っているのだ。これが続く限り、日本の国内消費の本格的な回復、そして経済の回復はあり得ない。
しかし、これを断ち切るための国産品優先して購入しようという声はどこからも上がらない。マスメディアからも、政治家からも、経済界からすらもだ。その理由は、そのような気運が高まると米国などが自国製品優先は貿易障壁だとして報復を受ける可能性があるからだ。欧米への輸出に頼る大企業にとってこれは好ましくない事態だ。そこでそのような動きが出ないよう、国産品愛用は身勝手な主張で好ましくないとしてメディアを暗に規制している。また、国民も身勝手な主張で恥ずかしいことだと信じ込まされている。
結果として、日本人の仕事と賃金の海外垂れ流しに反対するものは誰もいない。これが日本型デフレスパイラルだ。
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