犯罪は社会の鏡
嫌な事件が続いているが、最近犯罪の動機が変化しつつあるような気がする。
敗戦後しばらくは生活費を得るためと言う動機が多かったが、高度成長時代の末期からバブル期には遊ぶ金ほしさという動機が多くなった。ところが最近はまた、生活費がほしいからと言う犯罪が増えつつあるように見える。
生活費ほしさの犯罪はその社会の経済的貧しさを反映しているし、遊興費ほしさというのはその社会に安易で享楽的な生活を求める傾向がある事を反映している。つまり、犯罪の動機はその社会のあり方を反映しているのだ。その意味で犯罪は社会の鏡と言える。つまり、生活費ほしさが増えたと言うことは、日本の社会が貧しくなたことを示している。
一方、続発する若い女性に対する残虐な犯罪は、性に対する抑圧と、それを解消するためと称しながら逆に欲求を刺激する、悪質なポルノ類が野放しにされている事とも関係があるだろう。日本では売春を禁止している一方で性的な乱れに甘く、性欲を刺激するような情報が氾濫している。十代半ばの少女の性を強調した写真集などもその例だ。
そんな状況の中で、パートナーがいない若者たちには性的衝動のはけ口がない。これがポルノ産業のもうけ口になり、ポルノ業者は売り上げ増のためより刺激的で残虐なポルノを販売することにつながっている。そしてそれを見た者がさらに欲求を募らせ、残虐な性犯罪に走るのだ。これは敗戦後から昭和50年頃までは流行した上品な建前論では解決できない問題だ。
公然と議論するのがやっかいな課題ではあるが、どれを黙認しどれを厳しく取り締まるのか、それについての社会の暗黙の合意について見直しをすべきだと思う。
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