これ以上関空に金をつぎ込むな
橋下氏がまた伊丹廃止の主張を再開したそうだ。
伊丹を廃止して代わりに関空までのリニアモーター鉄道を引くという。それによって関空の利便性を高めるとの主張だが、これは伊丹の利便性を本質的に理解できていないことを暴露している。今や大阪経済の中心である梅田周辺からは、比較的安くタクシーで伊丹に行ける。タクシーであれば出発時間の制約もない。
これに対して鉄道では時間が限られる。利用者は環状線並みの運転感覚でなければ満足しないだろうし、料金も安さを求めるだろう。大阪北からリニアモーターカー鉄道を敷設するのに一体いくらかかるのか?1兆には届かないにしても1千億単位の費用が必要になるだろう。そんな鉄道が一体いくらの運賃で経営が成り立つのか?
これは建設準備が進んでいるダムの建設を、ここまでに使った費用が無駄になるから中止できないという国交省の主張と同じではないのか?関空の振興が難しいのであれば、ダムと同じく関空を放棄する選択肢もあり得る。いずれにしてもこれ以上関空に資金をつぎ込むべきではない。国家資金をを期待しているのであればなおさらだ。
どうせ赤字事業に金をつぎ込むのであれば、東南海大地震に備えて北陸新幹線の建設を急ぐ方が、国家の安全保障の意味合いでもずっと良い。
追記(2009/09/15);
以前にも書いたことだが、関空振興策として旅客増を目的として伊丹廃止にこだわるのは愚かだ。24時間空港の特性を生かして貨物輸送の分野で利用を拡大する手段がいくらでもある。
対岸に乙仲の作業と通関ができる保税エリアを作り、ここで通関作業後一時保管して便に会わせて空港内の貨物便発着エリアに運ぶ。その為の運搬車は橋の通行料を免除する。さらに、空港の運用に会わせて、通関作業を24時間可能にすることも有効なはずだ。
そもそも、旅客拡大に関しても24時間空港としての利便性が全く生かされていない。深夜に到着しても周辺都市までの公共交通機関が運行されていないからだ。これではどの航空会社も旅客便の深夜発着は望まないだろう。せめて、周辺主要都市までの鉄道とバスは24時間運行すべきだ。
上記は例の一部だが、巨額の資金をつぎ込まなくても利用増に寄与できる策はいくらでもあるだろう。税金による、大規模公共工事を欲しがっているだけのような提案は感心しない。国全体で見れば、関空振興よりも優先度の高い事業はいくらでもあるのだから。
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Posted by: F | September 20, 2009 06:21 PM