神戸市で海外渡航歴のない高校生に新型インフルエンザの疑いが出たという。早速同じ区域(学区)にある小中高と幼稚園の休校が指示された。
折悪しく、神戸市では今日(16日)から市民祭りが開催される予定だった。インフルエンザ発生の疑いが出たため、メイン会場の大パレードと東部地区での地区パレードが中止された。1年間かけて準備してきた参加者や主催関係者は気落ちしているだろうし、人出を当て込んだ露天商や模擬店の損失もかなりな金額になるだろう。祭り関係者にとっては、全くもって最悪のタイミングだ。
それはそれとして、海外からの帰国者が帰国直前に感染し発症前に帰国、発症しても症状が軽いためそれと気づかずにばらまいてしまうケースは予測されてはいた。今回、当該の高校生も当然新型インフルエンザとは思っていなかったはずで、発症までにあちこち動き回っているだろう。大勢の患者が出ることは覚悟せねばなるまい。
現在の日本人には、自分に不都合なことは起こりえないことと無視してしまう傾向が強いため、国内での流行を防ぐことはほぼ不可能だろう。
追記1:この高校に限らず、この周辺の学校の生徒はバス、JR、阪急などの同じ路線を利用して通学しており、朝夕は満員状態なので、同じ路線や駅を利用する周辺の学校にも感染は広がっていると予想できる。また、大阪に向かう通勤客の利用も多い。感染は既に、大阪市の通勤圏内を含めた阪神間で百人単位に広がっているものとして対策を立てなければならない。
追記2:この高校の周辺は市内有数の学校密集地帯だ。近距離に小学校3校、中学2校、市立高校1校の他、私立の高校が3校ある。これらの高校は4校は最寄り駅や通学路が共通で、特に朝のバスはすし詰め状態だ。さらに別のバス乗り継ぎ駅(阪急、JRなど3駅)を共用する大学や高校などが6校もある。また、私立校にはJRや阪神、地下鉄などを利用する長距離通学者も多い。従って、今回の患者が2次あるいは3次の感染者と考えられるだけに、生徒がどこで感染したのかを特定するのは非常に難しいだろう。
-2009/05/16-
追記3:三宮周辺の銀行やコンビニの従業員にも患者が出始めた。三宮は鉄道の5駅、そしてバスの主要路線が集中する神戸市最大のターミナルで、神戸市内そして大阪方面に向かう通学者・通勤者の大半がここで乗り換えるかまたは通過する。今回の感染拡大はここを通る通学者・勤労者から始まった可能性が高い。特にJRとバス路線のいくつかは、朝のラッシュ時には混み合っており、短時間であっても接触密度は航空機とは比較にならないほど高い。
追記4:朝日新聞18日付け朝刊に掲載されている患者の居住地域分布を見ると、JRの神戸線、京都線および学園都市線(東西線を経由して直通運転がある)に集中している。これを見ると、最初の患者はJR神戸線の利用者であった可能性がある。朝の大阪方面行きは東京の中央線ほどではないか、非常に混み合っている。ここでなら、患者の周囲の乗客は簡単に感染するだろう。また、最初の患者が勤労者であれば発熱しても休まないだろう。日本では伝統的に、38~9℃の熱があっても勤務を休まないことが美徳とされるからだ。むしろ、少々の発熱で休むようでは昇進に悪影響があるので、無理をしてでも出勤する人が多い。
-2009/05/18-
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