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January 25, 2009

医療の進歩が、医療費と介護費を増加させる

別に医療の進歩を非難するわけではない。医療が進歩すれば健康な人が増え、医療費や介護費用が少なくて済むというのは幻想または錯覚にすぎないと言うことを言いたいのだ。

かつて人生50年の時代、事故や犯罪などによる不慮の死を除けば人々の多くは感染症や伝染病で死んでいた。このような病気では長患いは少なく、数日から数ヶ月で死亡していた。近代になって化学療法が発達して、感染症や伝染病では死ぬ人が少なくなり、長生きする人が増えるにつれ癌や循環系の病気で死ぬ人の割合が増加した。

今日ではさらに医療が進歩して、癌や循環系の病気で死ぬ人の割合が減り始めている。そうしてさらに長生きする人が増えると、今度は体内で分解して排泄できない物質が蓄積して発症する病気が多発するようになってきた。分解して排泄できない物質とは、たとえば立体構造に異常を起こしたタンパク(代表的な物はBSEのプリオンやアルツハイマー病の原因となるタンパク質)などで、立体構造が異なるため正常な酵素では分解すべき時期になっても分解できないような物である。こうしてたまった物質(老廃物)が脳やその他の臓器・器官の機能を妨害して病気が発症する。このような物は長生きすれば必然的に蓄積する物で、昔はこれらによって病気が発症する前に他の病気で死んでいたため気づかれずにいたのだ。

そしてこのような病気は、年齢が進むにつれ不可逆的に徐々に進行するので死に至るまでは長い時間がかかる。結果として長期の療養と介護のための費用は増大してゆく。将来これらの病気が治療できる(症状を解消できる)様になればさらに長生きする人が増加し、今度は細胞自身の老化による活性低下が原因となるような病気が増加するだろう。

かつては老衰(病気以外の老化による衰弱死)で片づけられていた死の多くが、医療の進歩によってアルツハイマー病などの難病と診断されるようになり、今では老衰という脂肪診断はほとんど用いられなくなった。結局のところ不慮の死を除けば、人はすべて何らかの病気で死ぬのだ。今は単なる老化で病気ではないとされているものもやがては病気とされるようになり、いくら医療が進歩しても病気は減らない。そして、長寿や難病によって体が不自由になる人が増え、その状態が長く続くので医療費や介護費は増加し続けるだろう。

医療の進歩とは本来そういう性質のものなのだ。だから、医療の進歩によって医療費や介護費が減らせるというのは幻想または錯覚にすぎない。

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