関空振興策
橋下氏が、関空振興のためには伊丹を廃止せよと主張している。しかしそれは間違っている。
関空を作ったのは、伊丹の離発着制限が大阪経済の国際化を阻害しているという、関西財界の大合唱があったからだ。しかし時代が変わり、大合唱していた関西系大企業の多くが本社を東京に移転してしまった。
東京移転の大きな理由は、
1.大阪では、東京の企業に比べて政官界との密着度で遅れをとり不利である。
2.大阪からは、東京周辺をのぞく関東以北への移動に時間がかかりすぎる。東京からであれば、全国のどこへでも短時間で移動できる。
などである。
こうした理由で、大企業の東京への移動が進み関西財界は空洞化してしまった。それがどのような物かは、北浜周辺のかつて関西系企業の本社が入っていたビルを覗いてみればすぐわかる。多くのビルではネームプレートが「大阪支社」に掛け替えられ、各フロアも閑散としている。
さらに、大阪経済の重心は年々北に移動しており、かつての北浜-本町-心斎橋から、今は江坂-新大阪-梅田に移っている。その理由は、新幹線利用の利便性である。その結果、北浜-難波間では新規ビジネスビルの建設はまれで、建つのは高層マンションばかりになっている。
従って、関西経済の浮揚のためになすべき事は、伊丹の利便性拡大である。伊丹から各地への中小型機による便数を増やして利便性を高めることが大阪の利便性を高め、経済浮揚の助けとなるだろう。
それならば、関空の振興はどうすればよいのだろうか。
それは、24時間離発着可能という点を生かすことだ。特に、離発着が深夜から早朝であっても問題がない航空機、つまり貨物便の利用を促進することだ。現在、成田は貨物の取り扱いが限界に達しており、関空での荷扱いや通関に要する時間を成田より大幅に短くすることで貨物便を呼び込む余地がある。そして、貨物便利用の利便性は、関西中部から南部に生産基地を作るメリットを高め、関西経済の浮揚につながる。
ただ、貨物便の増加を阻害しているのが、発着料の高さと空港橋の利用料の高さだ。これは是非とも大幅に引き下げねばならない。そのためには、関西空港の建設費を、大阪、和歌山、奈良などを中心とする各府県とそこにある市町村が肩代わりし、空港の償却費を引き下げる事が不可欠だ。
結論として、国内線旅客は伊丹、国際線旅客と貨物は関空と割り切り、両空港の連携をはかる方が長期的には関西経済にとって利点が大きいはずだ。
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