値上げ加速
生活必需品の値上げが加速している。長年市場原理でコスト上昇を吸収し続けてきた後だけに、もはや原材料の値上がりを吸収する余地がなくなっているからだ。これ以上吸収しようとすれば、賃金の切り下げ以外手段がなくなっている状況といえばよいだろう。
しかし、賃金の切り下げは一般消費の冷え込みという形ではね返ってくる。そうなれば再びデフレスパイラルの復活だ。政府としてはそれは避けねばならないが、値上げを容認しても抑制してもどちらも景気の冷え込みにつながりうるだけに舵取りが難しい。政府と日銀は統計のトリックをフルに用いて、物価上昇はごく僅かで家計支出も伸びているので、景気は堅調だと強調するだろうがごまかし続けるのは難しい。
法人税統計では大企業だけが収益を伸ばし、中堅企業以下では利益が出ていないという。つまり、大企業が強い立場を利用して利益を独占しているわけだ。これを是正して、中堅以下の企業にも利益が配分されるようにしない限り、景気の維持は難しいだろう。
そのためには自由化と競争原理主義をある程度制限する必要があるが、政府と日銀にはそれに必要な指導力がない。だから遠からず景気は失速するだろう。もっとも、金融市場は実体経済とは無関係に動く時代なので、証券類は高値を維持し続けるかもしれないが。
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