下請けいじめ
読売新聞の5/30付けに下請けいじめを無くそうという社説が出ている。大いに賛成なのだが、現実にはいくらかけ声をかけても下請けいじめは減らないだろう。
というのは、これは成果主義と密接に結びついているからだ。成果主義も評価がだんだん厳しくなってきて、現在は数値目標に対する達成率で評価されることが多くなってきている。購買担当者にとっての数値目標は、原材料費の何%削減、購買単価の何%削減、あるいは具体的金額などで要求されることがほとんどである。ましてトップからの指示、または全社方針として具体的な目標数値が示されると、その達成が厳しく要求される。こうなると購買担当者がとりうる手段は下請けいじめ以外にほとんどない。
露骨な下請けいじめと言われるのを避ける為、その手法も種々工夫されている。
たとえば、複数社からの競争入札を行い、価格の低い方から2社購入とし、価格に応じて購入量を配分するのが代表的なものである。これをされると、中小企業は取引を切られない為に採算を度外視しても応札せざるを得なくなる。実際には、さらに購買部門の削減目標をちらつかせて値引きを迫るのだ。
もっともこれをやりすぎて、国内の購入先が皆撤退してしまい、品質が不安定な中国品やインド品しか手に入らなくなり、製造現場が品質維持に困っているという話もしばしば耳にする。困ったあげくに過去に買い付けた国内メーカーに泣きついたが、そこでも既に設備を廃棄してしまっていて生産できなかったという例すらある。
というわけで、下請けいじめは購入側にとっても良いことばかりではないのだが、数値目標の達成率による「客観的」業績評価が横行する限り、手法をさらに巧妙化させ今後も増加する一方だろう。
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