と言っても、昔一世を風靡した「マーフィーの黄金法則」ではない。技術者や研究者が、自分たちの苦い経験を元に作り出したジョークの経験則である。
ジョークとはいっても、これらの人々が頻繁に遭遇する出来事に基づいているだけに、自分たちに対する戒めとして無視できないものが多い。マーフィーの法則には多数の皮肉、金言、ぼやきなどが含まれているが、その第1法則は次のものである。
[マーフィーの法則](P1)
「失敗する可能性があるものは、失敗する。」
これは、いかにそれが小さなものであれ、失敗(トラブルと言っても良い)が起きる可能性を放置しておくと、いずれそれが表面化すると言うことであり、すべてにおいて当てはまる戒めである。そして、これはまた自分は大丈夫という安易な考え方に対する警告として肝に命じるべきことでもある。
他にも以下のようなものがある。
[ジョンソンの法則](P98)
「機械の故障は、もっとも悪いタイミングで発生する。」
[ワトソンの法則](P99)
「偉い人が見学していればいるほど、見学者の数が多ければ多いほど、機械の信頼性は低下する。」
これらの実例は「プロジェクトX」でもしばしば語られていた。また、大事故の多くは最悪のタイミングでミスや故障があったため発生することがある。
[キットマンの法則](P191)
「テレビの中では、本当のたわごとは、ただのたわごとに勝つ。」
これは、最近の捏造番組が作られた理由をよく言い表している。
[グラタムの物欲の法則](P23)
「買う前に役立つと思える度合いは、買った後に役立つ度合いと反比例する。」
これは、店員により高機能の商品を奨められた場合に役に立つ。
等々
この他にも、戒めとして貴重な名言、迷言、皮肉などが多数ありおもしろい。是非とも一読して欲しい本のひとつだ。
出典;「マーフィーの法則(現代アメリカの知性)」、アーサー・ブロック著 1993年 アスキー出版
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