街を歩いていて、映画の副題に「デッドマンズ・チェスト」あるのに目が止まった。
理由はスイフトの小説「宝島」に出てくる歌を思い出したからだ。小説中では「あの恐ろしい歌」と書かれているが、これは「Fifteen Men On the Deadman’s Chest」というタイトルの歌で、カリブ海にあるという難所「Deadman’s Chest(死者の衣装箱、隠喩で棺桶の意味もあるとの説も)」で難破した海賊達の物語だ。
「宝島」以外にも、海洋小説にはよく音楽が出てくる。これは、航海中の娯楽や水兵の戦意高揚に音楽が利用されたからだろう。「ホーンブロワー」シリーズに出てくる「ホーンパイプ踊り」の音楽がどんなものであったのかは知らないが、「樫の心(Hearts of Oak)」、「支配せよブリタニア(Rule Britania)」などは頻繁に出てくる。また、イギリスの仇敵であったフランスの国歌「ラ・マルセイエーズ」も良く登場する。
「Hearts Of Oak」の歌詞の一部は、「ボライソー」シリーズのタイトル「栄光に向かって舵を取れ(To Glory We Stear)」として使われている。また、NHKが名曲シリーズで「リバティー・ソング(Liberty Song)」として紹介していたアメリカの愛国歌の原曲なので、聞いたことのある人がいるかも知れない。
「Rule Britania」は、フォークランド戦争の際に兵士を乗せて出航する「クイーン・エリザベス 2世号」を見送る人たちが歌っていたのをテレビで見た記憶がある。ともに今もイギリス海軍で広く歌われているのだろう。
海洋小説以外にも音楽が出てくる事はよくある。例えばファンタジー小説「西の良き魔女」には、男声合唱の経験者ならよく知っているであろう「いざ立て戦人よ」が出てきたりする。小説中で音楽が出てくると、知っている曲であればその場面の雰囲気が良く分かるし、知らない曲であればそれがどんな曲であるかを調べてみるのも、小説を読む楽しみの一つだ。
追加;「Hearts of Oak」は下記のアドレスにmidiファイルと歌詞があり、聞くことができる。
http://www.contemplator.com/england/heartoak.html
追加2;「Fifteen Men on the Deadman's Chest」は、その後調べてみたところではスティーブンソンの創作だそうだ。最初の8行をスティーブンソンが作り、後に別人の手で残りの行とメロディーが作られたとの事。
追加3;「いざ立て戦人よ」はカワイ出版の「グリークラブ・アルバム1」に納められている。
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