プロ野球再編、日経記事を読んで
日経(7/17)にプロ野球改革についてのアンケート結果が掲載されていました。 収入の再配分を行って全体としての経営の安定化を図るべきだという意見が多いようです。 読売新聞のナベツネ氏は、これまで巨人があってのプロ野球だから巨人が常に優勝するのが当然だという考えを公言して来ましたが、ここへ来て少し風向きが変わってきたように見えます。 巨人がいかにに人気を集めようと対戦する相手がなければ、プロ野球リーグは成立しませんのでそのあたりに気付き始めておられるのかもしれません。
ところで、メジャーリーグの試合が盛んに放送されるにつれ、日本の野球ファンもメジャーリーグに比較して日本のプロ野球はつまらないと感じ始めているように思います。 メジャーリーグは組織も選手もともにいかにファンを楽しませるかを最優先事項にしている様です。 日本のように公認応援団と称する一団が統一した応援を強要することはありませんが、ゲームを演出するプロフェッショナルな人たちが雰囲気を盛り上げ、ファンがそれぞれのスタイルでゲームを楽しめるよう配慮しています。
これに加えて、日本にはない打者と投手の真っ向勝負があります。 メジャーリーグの投手はそれぞれ個性的な投球スタイルで打者に立ち向かいますが、日本の投手のように二段モーション(明らかにボークを宣告すべき投手が多い)で打者のタイミングを外そうとしたり、打者をおそれて逃げ腰の投球をするような投手はいません。 スポーツ楽しさの原点である力比べがそこにはあります。 力と力の激突、力と技の激突、それがメジャーリーグ野球の楽しさの根底にあります。 それに比べて姑息なプレーが多い日本のプロ野球の人気が低下するのは仕方がないでしょう。
そんな状態を背景に今回の再編騒動は起きていると思いますが、再編の動きはここ十数年の日本経済で行われてきた事をそのまま反映しています。 パイが小さくなったから食べる口を少なくしようというものですが、これは恐らくさらにパイを小さくすることへとつながるでしょう。 なすべき事はチームのダウンサイジング(いわゆるリストラ)ではなく、もっと地元の支持を受けられるよう地元密着度を高めてゆくことです。
かつてプロ野球チームのオーナーになることは、成功した会社のオーナー(雇われ社長ではない)にとって、その社会的ステータスを誇示する手段の1つでした。 赤字を垂れ流す球団を持っても困らないほど会社に資金力がある事を示すことは、会社のオーナーの経営手腕を証明するものでもあったのです。 大映の永田オーナー氏、読売の正力社主(社長ではない!)、大洋漁業(オーナーがどなただったか忘れました)その他東映、毎日、その他最近では西武の堤総帥やダイエーの創業者も皆さん同じでしょう。 ですからオーナーたちにとってチームの採算性など関心外だったでしょう。
そしてオーナー会議は、功成り名を遂げた社主(会社のオーナー)たちのサロンであって、今のように親会社から辞令をもらってなるサラリーマン球団社長が集まる実務会議ではなかったのです。 堤氏がご本人が出席するほどの格付けの会議ではないとみて、長い間出席していなかったのも当然といえば当然です。
そしてこの様な歴史を見れば、今回の再編劇で近鉄が新興企業による買収を拒否している理由も分かります。 彼らにとって球団を手放すことは一流企業からの脱落であり、まして球団を譲渡すればどこの馬の骨ともしれぬ会社の風下にたたされるという思いが売却拒否の背景で、プロ野球の今後を考えてなどとは無縁のことだと思います。
私は以前に市民や地元企業によるシンジケートでチームの支援、場合によっては保有することを提案しましたが、近鉄や後に続く球団合併が噂されるチームもっと地元の声に耳を傾け、企業業績に影響されない球団の経営方法を考えるべきです。
2004/07/18 馬納戸昇(UMANANDO NOBORU)
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